Jima's イベントレポート『写真家・上田晃司の「色で伝える写真表現ステップアップ講座」』

Jima's イベントレポート

はじめに

こんにちは。
写真家 兼 インフルエンサーとして活動しております Jima(じま)と申します。
私(筆者)は、2025年6月29日(日)にメリケンギャラリー(神戸)で開催されました「Nikon Creators in meriken gallery & cafe 2025_Early」に、記録係として参加しました。
当記事では、当日の様子をお伝えする現地レポートをお届けします。

2025年6月29日(日)のワークショップでは、写真家・上田先生を迎え、ニコンの最新ミラーレスカメラZシリーズを用いて、写真の世界観や表現力を深めたい中級〜上級者向けに行われた内容「色で伝える写真表現ステップアップ講座」が開催されました。

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当ワークショップでは、ニコン Zシリーズのカメラで楽しめる色作りの基礎から応用までが網羅されていました。
また、カメラの細かい設定方法や活用術が詳しく紹介されていることも特徴です。

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特に「色」がテーマである当ワークショップでは上田先生が作成したピクチャーコントロール(フレキシブルカラー)が参加者全員に提供されました。

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同日に開催されていた公募展で上田先生が展示していた国外旅行で撮影した作品に適用した色(フレキシブルカラー)を参加者も楽しめるのは貴重な機会です。

ニコン Zシリーズ 機種別の魅力

現在、ニコン ZシリーズではフラッグシップのZ9、Z8、Z7II、Z6III、Z5II、Zf、Z50II、Zfc、Z30といった多岐にわたるラインナップを展開しています。
上田先生は、ニコンがミラーレスになってからファームウェアの頻繁な更新により、カメラの性能を向上させている点を強調していました。

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例えば、Z9は発売後からファームウェアのVer.5.2.0までアップデートされており、Z8も間もなくファームウェアのVer.3.0.0が公開される予定です。

※当記事は25年6月29日時点の内容です。Z8 ファームウェア Ver.3.00は25年7月1日に一般公開済みです。

このアップデートにより、Z8でもピクチャーコントロール(フレキシブルカラー)がZ8でも利用可能になることから多くの期待が寄せられていました。

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また、ニコン Zシリーズのカメラでは、主に3種類(積層型、部分積層型、裏面照射型)のセンサーが搭載されていることが語られました。

NIKKOR Zレンズの圧倒的な描写力

ニコン Zシリーズの大きな魅力のひとつは、高品質なNIKKOR Zレンズの圧倒的な描写力です。

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当記事、執筆時点では46本ものNIKKOR Z レンズがラインナップされています。
驚きなのが、その全てが高い画質を追求して設計されている点だと強調されていました。

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特に逆光耐性の高さについて、上田先生の実体験をもとに語られました。
NIKKOR Z レンズでは、光のゴーストやフレアを効果的に抑えつつ、光源を自由に構図内に配置できることで、構図の自由度が格段に上がります。
会場の大きなモニターに、NIKKOR Z 20mm f/1.8 S で撮影された逆光の写真が紹介され、細部にわたるまでクリアに描写されている点が参加者の関心を集めていました。

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さらに、上田先生は他社のカメラとの比較を交えながら、ニコン ZシリーズのEVF(電子ビューファインダー)とスターライトビュー機能の優位性を紹介されました。
ニコンのEVFは圧倒的に明るく、18段階という広い調整幅を持つため、様々な環境下で快適に撮影できると説明されました。
他社製品との比較では、ニコンのEVFがデフォルトでより明るく表示されることが視覚的に示され、個人の目の感度に合わせて細かく調整できる点も利点として挙げられました。

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※参加者の皆さんも便利機能を教わった後、その場で試していました。

そして、暗闇での撮影を劇的に改善する便利機能「スターライトビュー」が紹介されました。
この機能を使用すると、肉眼ではほとんど見えないような暗い場所でも、EVFを通して被写体を認識し、さらにAF(オートフォーカス)が機能する点が強調されました。

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これは、星空撮影など極端な暗所での撮影時に非常に役立つ機能であり、参加者からも驚きの声が上がりました。

露出補正の重要性

次に露出補正の重要性についての話です。
実は露出補正に「正解」といったものはなく、撮影者の好みや表現意図によって調整するものであると強調されました。

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カメラが自動で算出する標準露出は非常に精度が高いものの、それはあくまで基準点であること。
そこから、撮影者自身が「もう少し明るくしたい」「もう少し暗くしたい」といった指示を出す(選ぶ)ことで、イメージ通りの作品に近づけることができると説明されました。

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例えば、同じ設定でも明るく撮れば色は抜け、暗く撮れば色は濃くなるという話がありました。
なので、露出補正によって色の出方も大きく変わることを理解することが大切であること、露出を細かく調整することが重要だと解説されました。

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また、便利機能として露出補正は「+/-ボタン」を押しながらダイヤルを回して行いますが、「カスタムメニュー>露出・測光>露出補正簡易設定」を有効に変更することで、コマンドダイヤル側を回すだけで露出補正ができるようになることが紹介されました。

※露出補正簡易設定を有効とするには、絞り優先 Aモード使用時など一部条件があります。

この設定を活用することで、特に明るい屋外での撮影などで非常に便利であることや、より直感的に露出を調整できることから、テンポよく撮影を進められると紹介がありました。

オートフォーカスと被写体検出の向上

ニコン Zシリーズのオートフォーカス(AF)性能についても、その飛躍的な進化が語られました。

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特に画像処理エンジン「EXPEED 7」を搭載するカメラでは、AFの処理能力が格段に向上しており、あらゆる撮影シーンで高い精度を発揮していると紹介がありました。特筆すべきは、被写体の検出機能の充実です。

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ニコン Zシリーズのカメラでは、人物、動物(犬、猫、鳥など)、乗り物(車、バイク、飛行機、鉄道など)といった様々な被写体を素早く検知・認識し、追尾することができます。これにより、動きの速い被写体でもピントを合わせ続けることが格段に容易になったと紹介されました。

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また、これまでAF-A(オートフォーカスモード自動切り換え)は、あまり推奨してこなかったものの、被写体検出機能との組み合わせが可能になったことで考えが変わったという話もありました。今まで以上に被写体の動きに合わせてカメラが自動でAFモードを切り替える精度が向上したことで、かなり実用的になったと述べられました。

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これにより、例えばスポーツ撮影や、予測できない動きをする子供の撮影などでも、撮影者は構図やシャッターチャンスに集中しやすくなり、決定的な瞬間を逃しにくくなるという説明がありました。

カスタマイズ性と使いやすさを追求する話

ニコン Zシリーズでは、利用者の使いやすさを追求した高いカスタマイズ性も魅力のひとつだと語られました。

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最近のニコン Zシリーズでは、カメラの操作系が片手(右手側)での操作を意識して設計されている点が挙げられました。例えば、再生時にOKボタンを押すだけでピント位置を拡大表示できる機能は、ピント確認の時間を大幅に短縮し、ストレスなく撮影に集中できるような工夫が凝らされています。また、頻繁に使う設定を素早く呼び出せる「iメニュー」のカスタマイズも紹介されました。

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※iメニューは各自が自由に設定できるので便利です。

液晶モニターやファインダーの明るさ調整、ピクチャーコントロールの切り替えなど、使用頻度の高い項目をiメニューに登録しておくことで、メニュー画面の階層を深く辿ることなく、直感的に設定変更を行うことができます。これは、刻々と変化する撮影状況において、迅速な対応を可能にし、撮影者の創造性を妨げないようにするための重要な設計思想と言えるでしょう。

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さらに、上田先生は、旅行や撮影の度に写真データを管理しやすくするためのフォルダー設定の活用を推奨されていました。
これは私(筆者)も連日の撮影でデータ管理を簡潔にするためにマイメニューにも登録している機能です。

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これらの細やかなカスタマイズ機能や使いやすさへの配慮が、ニコン Zシリーズを単なる高性能なカメラに留まらせず、撮影者の創造的な活動を強力にサポートしてくれることが語られました。

色彩表現を深めるフレキシブルカラー

今回のワークショップで最も重要なテーマのひとつ「色彩表現」の話です。

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上田先生は、ピクチャーコントロール、ホワイトバランス、そして露出補正の3つの要素が、写真の色表現においていかに重要であるかを解説されました。ピクチャーコントロールは、色の濃さやコントラストを調整する機能で、スタンダード、ニュートラル、ビビッド、モノクロ、フラットなどがあります。

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Z50IIやZ5IIなどの比較的、新しい機種では必要なピクチャーコントロールだけを表示する「絞り込み」機能が追加され、使いやすさが向上している点が紹介されました。また、フィルター効果のような「クリエイティブピクチャーコントロール」も紹介されました。

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クリエイティブピクチャーコントロールでは、20種類の効果を選ぶことができること、適用度を調整することで、自分だけの雰囲気を簡単に作り出せる手軽さが強調されました。そして、今回のセミナーで特に注目を集めたのが「フレキシブルカラー」です。

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※色づくりを楽しむには、NX Studio が大活躍します。

これは、Nikon Imaging Cloud サービスから写真家やインフルエンサーが作成したイメージングレシピをダウンロードしたり、ニコンのソフトウェア「NX Studio」で自分で色を調整した設定ファイルをカメラに登録できる画期的な機能です。

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※全体像が掴みにくい ニコンイメージクラウドの特徴が解説されました。

実際に上田先生がNX Studioを使い、フレキシブルカラーに関わる詳細な機能を紹介されました。ハイライトやシャドウの調整、彩度、さらに「カラーブレンダー」を使った色相の調整として、空の青をシアン寄りに変更するなど、直感的な操作でシネマティックな色作りができることが示されました。

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参加者には上田先生が実際に作成した、フィルム調(コダックゴールド風)やシネマ風、さらにはトルコ・エジプト・ガーナと旅行先の国旗の色をイメージしたフレキシブルカラーも紹介されました。

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また、Nikon Imaging Cloud を活用することで、イメージングレシピのダウンロードや、撮影画像のクラウドへの自動転送、ファームウェアアップデートなどができる便利な機能も併せて紹介されました。

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午後:撮影実習の様子

お昼休憩を挟み、13時には港町である神戸を堪能できる突堤付近にて皆で集合しました。ここからはワークショップ会場から外へ出て、撮影実習の時間です。

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参加者の皆さんは、上田先生が実際にどのようにカメラを構え、どのような設定でシャッターを切るのかを間近で見学しました。ただ話を聞くだけでなく、先生の細やかな視点や光の捉え方、構図の作り方といった、座学ではなかなか伝えきれない実践的なノウハウが、その場で惜しみなく解説されました。

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午前の部(座学)で得た知識をすぐに実践できるのが、この撮影実習の最大の醍醐味です。参加者の皆さんは、上田先生から教わったばかりの色に関する表現方法やカメラの設定など試行錯誤しつつ理解する姿が印象的でした。

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また、同じ場所でも、撮る位置や角度を変えるだけで写真が劇的に変化することが語られていました。わずか数歩、横に移動するだけで、背景の入り方や光の当たり方が全く異なることを示し、参加者はその変化に驚きの声をあげていました。ローアングルやハイアングル、あるいは被写体への寄り引きなど、多様な視点からのアプローチが大事であることを学びました。

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撮影が進むにつれて、参加者の皆さんも上田先生の教えを自分なりに解釈し、思い思いに自由に撮影に没頭し始めました。最初は「何をどう撮れば?」と戸惑っていた方も、しだいに自分のペースを見つけ、熱心にシャッターを切る姿が見られました。

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撮影実習中は、参加者の皆さんが実際にカメラを操作する中で抱いた「こういったシチュエーションではどう設定しますか?」や「この被写体を際立たせるにはどんなポイントがありますか?」といった疑問に、上田先生がその場で応える場面もありました。

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疑問が湧いたら質問し、その場で得たアドバイスを試す。そして、撮影した写真を確認し、また新たな疑問が生まれれば再び質問するといったサイクルは、参加者にとって非常に効率的な学びの場となっていました。

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今回のワークショップでは様々なカメラやレンズが貸し出されていました。参加者の皆さんが普段、使用している機材とは異なる機種や憧れの高性能レンズを手に取り、思い思いの画角や表現方法を追求していました。

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撮影中には「ここをこう変えると、より良くなる」といった、個別のアドバイスもありました。例えば、「もう少し露出を明るくすると、色の鮮やかさが増しますよ」や「あと一歩被写体に寄ってみると、主題がより引き立ちます」といった的確なフィードバックがその場で得られました。

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午前の部(座学)で提供されたフレキシブルカラーを積極的に活用する様子もありました。参加者の多くが様々なピクチャーコントロールを試し、被写体の色合いや雰囲気、あるいは光の加減に合わせて理想を追い求めているようでした。もちろん、フレキシブルカラーが目玉機能ではありますが、ニコン Zシリーズでは前々より搭載されている通常のピクチャーコントロール(スタンダードやビビッドなど)を活用する方も多かったです。デジタルカメラは撮影時に再生ボタンで写真を確認できるため、同じ被写体でも設定を変えるだけで全く異なる印象の写真が生まれることに、皆さん多くの発見があったようです。

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撮影実習で印象的だったのは、参加者の皆さんが一斉に建築物へレンズを向ける光景でした。同行している私から見ると、航空祭の一コマのようでした。皆さん、それぞれがベストなアングルを求めて、真剣な眼差しでファインダーを覗いていました。

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作品発表の時間

日差しが照りつける暑い中での撮影実習が終わり、参加者の皆さんはワークショップ会場へと戻りました。会場に戻ったからといって、学びの時間はまだ終わりません。この後は、撮影した写真の講評会です。

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講評の場では、撮影実習で各自が撮りためた写真の中から、お気に入りの一枚を発表する時間がありました。

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また、上田先生より「さらに良くするため」の具体的なアドバイスやフィードバックもありました。自分の作品がプロの視点から評価され、改善点を知ることで、参加者は大きな学びと新たな発見を得た様子でした。

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ワークショップを通じて

今回のワークショップでは、ニコン Zシリーズのカメラを用いた奥深い色作りを中心に、露出補正の重要性などを再認識しました。また、オートフォーカス性能の飛躍的な進化と被写体検出機能の充実、そしてカスタマイズ性の高さと使いやすさへの配慮について詳しく語られていました。

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特に、フレキシブルカラーは Nikon Imaging Cloud での連携やNX Studioを使った詳細な色調整が可能であることが示され、参加者は多様な色彩表現の可能性に触れることができました。

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上田先生の撮影テクニックを一緒に移動しながら、間近で学ぶことができ、ニコン Zシリーズ・NIKKOR Z レンズの魅力を深く理解する有意義なワークショップとなりました。

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写真を綺麗に撮るだけでなく、表現したい色としての一歩を踏み出す今回のワークショップは「作品として伝える写真」を目指す方、色作りを極めたい方にとって、有意義な内容でした。

このワークショップレポートが参加者の振り返りや次回、開催されるワークショップに参加を検討されている方の参考になれば嬉しいです。

最後までこの記事を読んでいただき、ありがとうございました。
また次回のワークショップレポートでお会いしましょう。

▼参考記事
・フレキシブルカラー 詳細

レポートを書いた人

Jima's プロフィール

<プロフィール>
Jima(じま)/ 写真家・Nikon系YouTuber
5年間フォトスタジオにて活躍後、管理職として得た知識と経験を活かし独立。
現在は法人を立ち上げ撮影のみならず情報発信を含め幅広い領域へ活動の場を広げる。

◆活動内容
チャンネル登録者数3万人のYouTubeチャンネル「カメラ塾【JimaTube】」を運営。
カメラや写真、撮影知識に関する情報を「楽しく学ぶ」をコンセプトに発信中。

【YouTube】カメラ塾【JimaTube】